親会社等の決算内容の見方

本日は、未上場の資産管理会社が上場企業の株式20%以上を保有していることから、決算内容を開示している事例です。

配当金の益金不算入
株式保有特定会社
株式会社宇野澤組鐵工所(6396 東証2)のオーナーである宇野澤氏の資産管理会社、ウノザワコーポレーションの決算内容です。
出所 株式会社 宇野澤組鐵工所
2021年6月28日 親会社等の決算内容に関するお知らせ 
2019年12月3日 変更報告書No.11 共同保有者間での一部事業の吸収分割により株券等保有割合が各1%以上増加減少したため

開示内容

ウノザワコーポレーションは、宇野澤組鐵工所の株式26.36%を保有していることから、東証のルールに従い親会社として決算内容を開示しました。

受取配当金の益金不算入

開示されている損益計算書は、簡素化されているのでかなり推測が入ります。
税引前当期純利益42百万円に対して、法人税、住民税及び事業税は6百万円です。
法人税の実効税率30%を適用すると42×30%=12百万円です。
ここでの差額6百万円は、何らかの税金圧縮の効果があったものと推測できます
法人が他の内国法人から配当等を受けた場合には、株式等の保有割合に応じて一定額を益金に算入しないこととされています。
本件は受取配当等の額の50%相当額が益金に算入されない手続きと思われます

株式保有特定会社

貸借対照表をみると、投資その他資産(1,291百万円 宇野澤組鐵工所の株式)が、資産(1,656百万円)の大半であることがわかります。
そこから、資産管理会社は株式保有特定会社であるようです。
株式保有特定会社とは、会社の有する資産の合計額に占める株式、出資、新株予約権付社債の合計額の割合が50%以上である会社です。
将来の事業承継を考えた時には、株式保有特定会社であることのデメリットをいかに解消するかが、課題であることがわかります。

キャッシュフロー

売上高(68百万円)は、配当金額が、1株あたり30円ですので、受取配当金の合計は9百万円。
それ以外は不動産の賃料収入であると推測されます。
有形固定資産は、350百万円。
業歴も長い会社なので、簿価は低いですが、現在は含み益が相当あることが想像できます。
当期純利益が36百万円ある一方で、流動資産が15百万円は少ない印象です。
固定負債196百万円は外部からか、オーナーからの借入かは不明ですが、利益の一部は借入の返済に充てられていると考えるのが自然です。
一方で株主資本が1,410百万円もあり、資本剰余金が973百万円、利益剰余金が407百万円と資産管理会社として、堅実に利益を積み上げていることがうかがえます

その他

過去の変更報告書を調べてみると、オーナーはどうやら別に資産管理会社を保有していたようです。
2019年の変更報告書によれば、別の資産管理会社から有価証券の管理部門を切り出し、ウノザワコーポレーションに吸収合併させています。
その結果として、優良な有価証券の管理部門を吸収し、財務内容を改善させたのかもしれません。
資産管理会社の再編は、これ以外にもグループ法人税制を活用した、同族会社間での再編もあります。
当然、株式を動かすにあたっては資金が必要ですから、金融機関などの外部から資金を調達するよりは、本件のように組織の切り出しの方がハードルは低いように思います。
owner
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