自己株式取得の方法② ToSTNET3と相対取引

ToSTNET3と相対取引の違い

今回は、シュッピン株式会社(3179東証1)が開示した情報を題材にして、自己株式取得の方法について考えます。

自己株取得専用のToSTNET3と相対取引は、市場内取引と市場外取引の違いはあるが、実質的には同じもの
相対取引は、株主総会での特別決議が必要であるが、ToSTNET3は取締役会の承認で実行可能である 

ところで、シュッピン株式会社の創業者は、シリアルアントレプレナーとして有名な鈴木慶氏です。

彼は、パソコン製品を中心とした販売チェーンのソフマップの創業者としても有名な方です。

シュッピン株式会社が、鈴木氏より自社株を取得した方法は、市場内取引におけるToSTNET3です。

ところで、この方法は、市場外取引における特定の株主との相対と何が違うのでしょうか

出所 2021年6月15日 シュッピン株式会社
「自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による自己株式の取得結果及び取得終了 並びに主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」
適時開示情報閲覧サービス https://www.release.tdnet.info/

開示内容は?

シュッピン株式会社が、同社株式を保有する鈴木氏からToSTNET3によって、自己株式の取得を行ったという内容です。

その結果として、鈴木氏の保有比率が10%を下回ったことから、主要株主から外れる事になったというものです。

自己株式取得の方法について

ここで、上場会社による自己株式の取得方法について整理しておきます。

1.市場外での取得

①公開買付

②特定の株主との相対

2.市場内での取得

①オークション市場(通常の市場)での買付

②ToSTNET2での買付

③ToSTNET3での買付

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ToSTNET3による取得とは

自己株式取得のための専用取引です。

買付けを行おうとする日の前営業日に、買付の委託を受けた証券会社が東証に届出を行います。

そして買付日の午前 8 時から 8 時 45 分まで売り注文を集めて買い注文との間で取引を成立させます。

買付注文を買付会社の注文に限定している点と、売付注文数量が買付注文数量を超えた場合は、注文があん分される点が特徴です。

特定の株主からの相対による取得について

市場外で自己株式を取得する方法ですが、株主総会の特別決議を得なければなりません。

特別決議の際、取得する株式の種類や数、取得価格や取得することが出来る期間、特定株主の氏名等を公開する必要があります。

ToSTNET3は実質的には相対と同じ?

先程、ToSTNET3の流れをみましたが、実際に他の株主が売り注文を出すのは難しいと思われます。

実質的には特定の株主との相対と同じだと考えられます。

市場外での取引だと、株主総会の決議事項であるのに対して、手続き的にも時間的にも簡単なToSTNET3が選ばれるのは当然です。

ただ、市場外の相対取引と見做されないように、発行会社も形式上は他の株主も参加できるようにしているようです。

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まとめ

発行会社が自己株式を取得する方法は、制度上は複数用意されています。

しかし、使い勝手や税制上の取扱いの違いから、ToSTNET3か公開買付が選ばれていると思います。

自己株式の取得は、特にオーナー企業の場合には、オーナーの意向が反映していることが多いです。

 

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