流通株式の定義・特別利害関係者

流通株式の定義
特別利害関係者
従業員(役員)持株会
財団

今回は、極東産機株式会社が提出した「主要株主の異動に関するお知らせ」を題材に、流通株式の定義について採り上げます。

市場区分の変更により、特別利害関係者が保有する株式は固定株式となる
特別利害関係者の中では、配偶者、資産管理会社、財団に注目
従業員持株会は、保有比率によって流動株か固定株かが決まる

適時開示情報の内容自体は、従業員持株会が保有する株式の保有割合が、10.09%から7.97%へ減少した内容です。

これは、従業員が持株会から単元株を引き出したという事実に加えて、東証が進めている市場区分の変更への対応があったと考えられます。

なぜ、今、従業員持株会の保有比率が低下したのか?あるいは低下させなくてはならなかったのかについて、考えていきます。

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出所 2021年6月14日
「主要株主の異動に関するお知らせ」極東産機株式会社
適時開示情報閲覧サービス
https://www.release.tdnet.info/

流通株式の定義の見直しについて

東証では、来年4月4日に市場区分の見直しを予定しています。

その際にポイントなるのは、流通株式の定義の見直しです。

特にオーナーの持株比率が高い上場企業は影響が大きいです。

今回、役員以外の特別利害関係者が保有している株が、流通株式から除外されるからです。

要するに、市場に出回っていない固定株式になると定義されました。

特別利害関係者とは?

わかりやすく言うと、次の4株主のことです。

配偶者及び二親等以内の血族

・議決権の過半数を保有する資産管理会社

・財団法人

・政策投資(除く純投資)

これらの株主が保有する株式は、これまでとは異なり、流通株式ではなくなります

相続を見据えて、資産管理会社や財団に株式を持たせているオーナーには、影響が大きいことがわかります。

持株会が所有する株式の取扱いは?

役員持株会の所有分は、所有比率に関わらず流通株式です。

一方、従業員持株会の所有分は、10%以上保有している場合は固定株式となります。

本件の場合は、従業員持株会の保有比率が10%未満となったことから、固定株式から流通株式になったという報告です。

主要株主の異動について

主要株主とは、議決権の10%以上を保有している株主を指します。

主要株主は、会社法上の帳簿閲覧権を持ち、会社の業務執行に大きな影響を有します。

従って、その異動を適時に開示することが求められています。

この場合には、臨時報告書を提出します。

本件は、主要株主が従業員持株会であるため、臨時報告書の提出義務はありません

代わりに適時開示報告が行われています。

本件のポイントは

従業員持株会は、保有比率に応じて流通株式か否かが区別されます。

10%以上の場合には、固定株式

10%未満の場合には、流通株式

本件において、従業員持株会の比率が減少した背景はわかりません。

ただ、市場区分の変更に対して、手っ取り早く流通株式を増やす目的であったと推測する方が、合理的です。

財団保有分も流通株式から外れる!

市場区分の変更において、今話題となっているのは、財団が保有する株式の取扱いです。

私の周りにも、財団を活用して相続への備えをしているオーナーはたくさんいます。

財団に寄付した財産は、一義的には国の財産のはずです。

流通株式を増やすために、財団の基本財産である株式を資金化できるのでしょうか?

気になるのは、財団に寄付した際に非課税となっていた譲渡益の取扱いです。

株式を資金化した際には、譲渡益を寄付した時点に遡って納税するのでしょうか?

もし財団の理事や事務局が、会社の関係者だとすれば、インサイダー規制に従うのでしょうか?

実務的に、色々とクリアすべき課題がありそうです。

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まとめ

今回の東証による市場区分の変更は、オーナーの資産管理手段としての、資産管理会社や財団の使い方を見直すきっかけになるかもしれません。

また、これから上場を目指す、未上場企業の資本政策としての従業員持株会についても同様です。

持株会にどの程度保有させるかを、あらかじめ計画しておかないと、流通株式比率に関する基準が満たせなくなるリスクもあります。

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