その他の関係会社・非上場の親会社等の開示・自己株取得の税務

公開買付とToSTNET3の税務取扱いについて
非上場の親会社等の開示
その他の関係会社

今回は、不動産の賃貸・仲介・管理を手広く展開し、ピタットハウスでお馴染みのスターツコーポレーション(東証1 8850)を採り上げます。

適時開示 スターツコーポレーション
2021年6月8日
「自己株式の公開買付けの結果及び取得終了並びにその他の関係会社の異動に関するお知らせ」
2021年5月10日
「自己株式の取得及び自己株式の公開買付に関するお知らせ」
適時開示情報閲覧サービス
 https://www.release.tdnet.info/

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適時開示の内容は?

2つの内容が開示されました。

まずは、スターツの株式20.68%を保有している資産管理会社の(株)豊洲が、公開買付けに応募し、6月7日に終了した内容です。

豊洲は、オーナーの村石氏が取締役を務め、議決権の95.3%を所有する資産管理会社です。

2つ目は、今回の公開買付によって、豊洲が「その他の関係会社」に該当しなくなったとの内容です。

ToSTNET3と公開買付の税務取扱いについて

上場企業が自己株式を取得する方法としては、今回の公開買付(自己株TOB)とToSTNET3という方法が一般的です。

これらの方法については、下記をご参照下さい。

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今回は、資産管理会社という法人からの自己株式取得なので、公開買付が選択されたものと考えられます。

ToSTNET3は、市場内での取引なので、株式をスターツに譲渡した豊洲に対しては、譲渡益に約37%の法人税が課税されます。

公開買付は、自己株式を取得したスターツでは、配当として扱われることから、みなし配当課税が適用されます。

この場合、スターツは、みなし配当金額に対応する源泉税を翌月10日までに納付する必要があります。

一方で、自己株式を譲渡した豊洲は、受取配当金として扱われることから、益金不算入制度を活用し、50%益金不算入となるはずです。

公開買付の場合、一般的な買付価格は、指定日の終値から10%程度ディスカウントした価格を設定します。

法人の場合、ToSTNET3に比べて条件が悪い公開買付に応募したとしても、税金を考慮した手取額は公開買付の方が有利となるからです。

その他の関係会社の異動について

(株)豊洲を「その他の関係会社」から外した背景には何があったのでしょうか?

その他の関係会社とは

その他の関係会社とは、議決権(株式)を20%以上保有している法人のことをいいます。

議決権を相当数保有していることから、会社の財務や営業、事業の方針等に重要な影響を及ぼすため、決算内容を開示することになっています。

非上場の親会社等の開示とは

親会社(支配株主)またはその他の関係会社を有する上場企業は、決算内容を開示する必要があります。

これら親会社やその他の関係会社が、非上場であっても決算内容の開示義務は変わりません

非上場の資産管理会社がその他の関係会社に該当する場合は?

上場企業オーナーの資産管理会社は、しばしばその他の関係会社に該当します。

その場合、非上場がほとんどです。

そこで問題となるのは、その他の関係会社に該当する非上場の資産管理会社まで、決算内容を開示する必要があるのかということです。

オーナーの資産管理を主たる業務としている資産管理会社の場合

資産管理会社はオーナーと同一と考え、その他の関係会社であっても親会社等には該当しないとされています。

オーナーの保有株式の管理だけが会社の業務であるケースが該当します。

不動産事業やその他のビジネスを行っている資産管理会社の場合

資産管理会社は通常の法人と考え、親会社等に該当します。

オーナーの個人的な資産管理だけでなく、その他のビジネスを主業務としているケースが該当します。

従って、資産管理会社が親会社等に該当すれば、非上場であっても決算内容を開示する必要が出てきます。

(株)豊洲は?

豊洲の開示内容を調べてみましたが、決算内容は開示されていませんでした。

これまでは、その他の関係会社には該当していたが、親会社等には該当しなかったので、開示されていなかったと推測されます。

よって豊洲は、自社株だけを保有していた資産管理会社であったと推測されます

今回、保有している自社株の大半を公開買付に応募し、比率が20%以下となったことで、その他の関係会社から外れたと推測されます。

まとめ

豊洲は、これまで決算内容を開示しないことと引き換えに、村石氏の保有株式の管理しか業務として行うことは出来ませんでした。

これでは、相続対策をしようにも限界があります。

今回、公開買付によって、会社に自社株を引き取らせた決定の背景には、自身の資産管理をする上で自由度を高めるという狙いがあったものと推測します。

豊洲は、決算を開示する必要のない資産管理会社になった訳ですから、今回手に入れた約77億円(税引前)の現金を使って、村石氏は他人の目を気にせず好きに使うことが出来るのです。

 

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