今回は、クラウドインテグレーターのSharing Innovations(4178 マザ 時価総額100億円)の話題です。
株券等保有割合の1%以上の減少
EDINET
概要
同社の新株予約権が、条件(である業績?)をクリア出来なかったことから権利失効し、その結果、予約権を受託していた有田氏の保有比率が1%以上減少しました。
開示情報を見て思う事①
変更報告書の提出事由が、保有割合の減少となっていたので、単純な株式売却かと思い内容を読み進めたところ、信託期間満了による減少が理由との事でした。
つまり有田氏が保有している信託予約権が、信託期間満了で失効したということです。
では、有田氏とは誰かとみると、Sharing社の親会社であるOrchestra社を委託者、新株予約権の受託者が有田氏でした。
有田氏は、Sharing社、Orchestra社の関係者ではない模様ですので、あくまでも民事信託における受託者としての器を提供していることになります。
民事信託の内容
委託者であるOrchestra社が受託者である有田氏に対して、有田氏がSharing社から購入する新株予約権の購入資金を提供します。
有田氏は、その資金で新株予約権を購入しておき、一定の条件を満たしたら、Sharing社の従業員に付与します。
今回は、条件を満たせなかったことから、権利が付与されずに失効したという事です。
開示情報を見て思う事②
Orchestra社から有田氏へ購入資金を提供した際、法人への贈与と見做されます。
つまり、有田氏は個人ですが、受託者としては法人と見做される(受益者不在法人課税)ことから、有田氏は法人税を支払わねばなりません。
通常は、Orchestra社からの資金から税金部分を除いた金額で、新株予約権を購入しているはずです。
今回は、権利が失効してしまったことから、この税金は支払い損という結果となりました。
あくまでも民事信託は、ビジネスとして報酬を受け取る商事信託(信託銀行や信託会社)とは異なり、無償での信託業務提供が前提です。
従って、恐らく、有田氏には受託者としての器を提供したことへの報酬として、別途、〇〇料という名目で対価が支払われると考えるのが合理的です。