今回は、給湯器メーカーのリンナイ株式会社(5947 東証1 時価総額5,700億円)の話題です。
出所:2021年8月18日 リンナイ株式会社
自己株式の取得及びToSTNET3による自己株式の買付並びに自己株式消却に関するお知らせ
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自己株式の取得及びToSTNET3による自己株式の買付並びに自己株式消却に関するお知らせ
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概要
リンナイ(株)が自己株取得と消却を発表しました。
ToSTNET3と明示されているので、売却してくる相手方は既に決まっているということです。
上限が、2,000千株(3.89%、約217億円)と記載されているので、その8割程度、約1,600千株前後に売却ニーズがあると思われます。
開示情報を見て思う事①
ガバナンスコードへの対応と東証が進める市場再編の動きによって、最近は上場企業が保有する政策保有株の売却が目立っています。
大株主の構成を見てみましたが、資産管理会社や親族に交じって、信託経由の株主がいますので、金融機関や事業会社が含まれている可能性があります。
今回の自己株取得は、約200億円規模ですから、1社というよりは、何社か売却の意向があったと推測されます。
通常の市場で売却されるよりは、数社分をまとめて、ToSTNET3で自己株を取得したという感じだと思います。
開示情報を見て思う事②
市場再編という視点で見ても、今回は自社株を消却するので、リンナイにとってもメリットがあったと思われます。
プライム市場上場については問題なくクリア出来るものの、仮に今回3.89%分を取得したとすると、3.89%/(100%-3.89%)=4%の流通株式比率の改善が見込めます。
まとめ
最近、自己株TOBと自己株消却のセットをよく見かけるようになりました。
投下資本の効率経営が重視される流れの中で、自己株TOBは事業会社の持合い株式売却の受け皿となり得ます。
また自己株式の消却によって、流通株比率の向上だけでなく、一株当たりの株主利益の向上にも役立ちます。
最終的に企業価値の向上に結びつけば言うことなしです。