自己株TOBと自己株消却(続編) 

9月1日付けにて紹介したリンナイの続編です。

今回、変更報告書が開示されたことから、実際に何が起こったかについてかなり見えてきました。

出所:2021年9月8日 変更報告書(短期大量譲渡)No.14 林謙治 
株券等保有割合1%以上減少したこと 
2021年9月8日 大量保有報告書 林謙治 該当事項なし 
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前回のあらすじ

資産管理会社を解散する前に、資産管理会社が保有していたリンナイ株式を林氏に現物分配し、林氏はその株式を公益財団へ寄付しました。

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今回は、8月20日に投稿したリンナイ株式会社の「自己株TOBと自己株消却」の適時開示情報に関して、その背景が見えてきましたので当方の見方を紹介します。あくまでも推測ですが、林謙治会長の目的は全く私の予想外だったかもしれません。出[…]

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今回明らかになった事

リンナイ株式を寄付した後に、同時に保有していたリンナイ株式をクロス取引していました。

変更報告書(短期大量譲渡)とは

過去60日間で保有比率のピークから2分の1、かつ5%以上減少した場合に報告するものです。

通常は、1%以上減少する変更報告書と一緒に提出されます。

本件でいえば、林氏の保有比率がピーク時の8.44%から2.41%となりました。

寄付金控除と寄付金特別控除について

公益財団へ寄付する場合には、いずれか有利な方を納税者は選択することが出来ます

  • 寄付金控除(所得控除)
    (寄付金額―2千円)=寄付金控除額 但し、所得の40%が上限
    仮に10億円の寄付を行った場合、4億円が所得控除される
  • 寄付金特別控除(税額控除)
    (寄付金額―2千円)×40%=寄付金特別控除
    但し、その年の所得税額の25%相当額が上限

現物分配の課税について

配当金というと現金というイメージですが、株や不動産も配当することは可能です。

資産管理会社からリンナイ株式を現物配当として受け取った林氏には、みなし配当課税として最高税率55%がかかります。

開示情報を見て思う事①

今回、林氏はどちらを選択したでしょうか?

それは、この後に実施したリンナイ株式のクロス取引と関係があると推測されます。

株式の譲渡益課税と税額控除の損益通算について

林氏がリンナイ株式を現物配当されてからの一連の流れは、次のように推測されます。

  1. 現物分配された林氏には、リンナイ株式にみなし配当課税が課せられることから、株式をリンナイ奨学財団へ寄付
  2. 寄付の際、選択した寄付税制は②の寄付金特別控除だったが、恐らく税額控除額の枠が余った。
  3. 余った枠を活用して、個人で保有していたリンナイ株式のクロス取引を行い、単価を12,300円とすることで益出しを実施し、損益通算を行った。

まとめ

既存の資産管理会社を整理するにはどうすればいいのかという事から、このスキームを考え出したものと推測します。

決して節税が目的ではなくて、払うべき税金はきちんと払う、ただ余計な税金は削るという一本筋が通ったスキームという印象です。

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