市場区分変更が背景のMBO

今回は、クラウド活用のデータ管理プラットフォーム「スパイラル」が柱のパイプドHD(3919 東証1 時価総額230億円)の話題です。

出所:2021年9月30日
株式会社ミライサイテキによる公開買付の開始に関するお知らせ
MBOの実施及び応募推奨に関するお知らせ
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概要

パイプドHDが、プライベートエクイティファンドのアドバンテッジパートナーズにより、MBOする話題です。

開示情報を見て思う事①

開示資料には、MBOの目的としてコロナ後の経営戦略云云と書かれていますが、実際には市場区分変更への対応が大きな理由ではないかと推測しています。

東証1に該当するプライム市場では、流通株式時価総額として100億円という基準があります。

同社は時価総額が200億円余り、株主構成を見ると、社長の佐谷氏、元役員の東山氏の資産管理会社だけで52%の株式を保有しており、いわゆる固定株が大半です。

仮に社長の佐谷氏が保有株式を売出した場合、3分の1超の拒否権がなくなることになります。

どうやら東山氏も安定株主として、売出す動きはなかったようですから、このままではプライム市場上場基準をクリア出来ません。

元々流通株式の割合が低いことから、この基準をクリアするには、株価を劇的に上げるよりほかに手立てがないように見受けられます。

開示情報を見て思う事②

恐らく、アドバンテッジは、こうした状況にある企業に狙いを定めて提案を行ってきたのではないでしょうか?

プライムに上場維持出来ないのなら、いっそのこと一旦市場から退き、企業価値を高めた上で再上場しませんか~というセールス内容は有効だと思います。

投資銀行は、市場区分変更というイベントを踏まえて、こうした提案を行っていると聞きますので、流石だと思います。

開示情報を見て思う事③

今回、アドバンテッジによるMBOが成立した後に、次のステージとして自己株TOBもセットに行うことが発表されています。

2段階に手続きを分けた背景ですが、恐らく第2位株主である元役員 東山氏の資産管理会社にはMBOではなく、自己株TOBに応募してもらうことを狙っていると推測します。

MBOに応募した場合には、プレミアム分だけ高い株価で売却できますが、その分高い税率(37%)が課税されます。

一方、自己株TOBは、市場外での売買ですので、資産管理会社が応募した場合は、みなし配当課税が適用されます。

恐らく本件では、50%の配当金益金不算入を使えるはずですので、MBOに応募するよりも手取りは多くなるはずです。

まとめ

開示情報からの推測ですが、自己株TOBは恐らく元役員の東山氏への一定の配慮が背景だと思います。

他の株主への手前、MBOでも自己株TOBでもいずれに応募しても法人は受取額が変わらないという建付けを作りたかったのではないでしょうか?

ここまで配慮されたら、東山氏も株式の非公開化に賛同せざるを得なくなったのではないでしょうか?

MBOによる非公開化を全ての株主が支持するわけではない以上、大株主に対してはそれなりの配慮がMBOの成立には必要だと思います。

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