資産管理会社の再編とグループ法人税制

未上場の親会社等の決算
資産管理会社の再編
グループ法人税制

今日はうどんの杵屋、そばのそじ坊を運営するグルメ杵屋(9850 東証1)の適時開示情報を使います。

資産管理会社の再編とグループ法人税制をうまく組み合わせた資産承継対策が、今回のテーマです。

資産管理会社の再編とグループ法人税制を組み合わせることで、課税の繰延べを行いながら資産承継が可能となる

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出所 グルメ杵屋
2021年6月15日 非上場の親会社等の決算に関するお知らせ 
2018年9月10日 主要株主である筆頭株主およびその他の関係会社の異動に関するお知らせ
2018年6月12日 非上場の親会社等の決算に関するお知らせ 

適時開示情報閲覧サービス
 https://www.release.tdnet.info/

適時開示情報の内容は

内容は、非上場の親会社等の決算に関するお知らせです。

グルメ杵屋は上場会社ですが、親会社は、株式会社MUKUMOTO(以下、M社)という未上場の資産管理会社です。

未上場の資産管理会社であっても一定の条件を満たすと決算を開示することになります。

未上場の親会社等の決算開示とは

未上場会社であっても上場会社の議決権を20%以上保有し、かつ何らかの事業を行なっている場合、東証のルールにより決算内容を開示しなければなりません。

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今回のポイントは

開示情報に記載されているM社の大株主を見ると、個人名ではなく、資産管理会社名が載っています

2つの資産管理会社、A&A社とあづさ社がそれぞれ50%づつ保有しています。

そもそもM社が資産管理会社なのに、株主も資産管理会社??

何か複雑な事情がありそうな雰囲気がします。

そこで、過去に開示されている情報を遡りました。

2018年の開示情報は?

M社の大株主には、個人名が記載されています。オーナーである父親が70%、娘(と思われる)が30%株式を保有しています。

直近では、2つの資産管理会社がそれぞれ50%の持分ですから、この間に父親と娘の間で持分の移動が起きていたと思われます。

資産管理会社を使って、父から娘への資産承継が行われたことは確かなようです。

資産管理会社の再編

開示情報には、会社分割による新設会社への株式承継を行なった旨の記載がありましたが、何のことやらわかりません。

要するに父から娘へ株式を移転するために、M社に加えて、もう一つ新しく資産管理会社を設立したと言っています。

あくまでも想像ですが、いわゆる分社型会社分割が行われたと考えられます。

新設会社の名前をわざと存続会社と同じ名前にしているので、表面上は、何も起こっていないように見えますが、実態は再編が行われています。

あくまでも想像ですが

まず娘の資産管理会社であるあづさを設立し、M社株式を父70%、あづさ30%の割合で保有します。

その後、M社を分割し、新設法人(A&A社)に存続法人(M社)が持っていたグルメ杵屋の株式を売却していると思われます。

非常に複雑なので、図を参照ください。

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正しいという保証はありませんが、こんな感じで再編したと思います。

結局、複数の資産管理会社を組み合わせることで、父が保有していたM社の持分70%は、35%まで引き下げることになるはずです。

代わりに30%しか保有していなかった娘は、間接分を含めて65%の株式を保有することになりました。

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税金はどうなるの?

事実として、父の持分が娘に移動したのだから、売却と同じと考えて、譲渡益には課税されるべきと考えるのが普通です。

ところが、グループ法人税制を活用することで、この時点では課税されないのです。

娘が将来、株式を売却するまで課税は繰り延べることが出来るのです。

結局、この時点では、娘は恐らく一円も税金を支払うことなく、父から35%分の持分を手に入れた可能性が高いと推測します。

グループ法人税制とは?

完全支配関係にある内国法人が対象です。

同族企業によく見られますが、一の者が相手法人の株式の全部を、直接または間接に保有する関係です。

グループ法人内で資産の移転があった場合、譲渡損益の計上タイミングを譲受法人がその資産を譲渡する時まで繰延べることができます

まとめ

オーナーである父親に偏っていた株式を、資産管理会社の再編、およびグループ法人税制を組み合わせることで、うまく娘に移動させたと推測されます。

開示されている情報だけで推測していますので、再編スキームの正当性は保証の限りではありません。

とは言え、よく考えられたスキームだと思います。

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