今日は、紳士服会社の株式会社オンリー(3376 東証1 時価総額45億円)の話題です。
株式会社紳士服中西による公開買付の開始に関するお知らせ
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概要
(株)オンリー創業家の資産管理会社である(株)紳士服中西が、オンリーに対してMBOをすることを発表しました。
(株)紳士服中西は、今年の7月に創業者である浩一氏が1%、息子の浩之氏が99%(無議決権株式)出資している資産管理会社です。
今回のMBOに際して、買取資金は三菱UFJ銀行が融資するとのことです。
開示情報を見て思う事①
前回の(株)オリバーのように、全くの第三者が公開買付者ではない点を除くと、最終的には事業承継を目的としたMBOの可能性があると思います。
今回の公開買付の受け皿としての資産管理会社は、直前に設立されたものであり、株主は創業家だけですから、事業承継を目的としたと考えるのが合理的です。 今回は、愛知県に本社を置くオフィス家具販売のオリバー(7959 東証1)を題材に、事業承継を目的とした(と推測される)MBOを採り上げます。非上場かつ非同族会社の株価評価相続税評価額の引き下げ効果MBO後の出口戦略・MBOに[…]
開示情報を見て思う事②
今回のMBOを市場区分変更の視点から見れば、時価総額がプライム維持に必要な基準をクリアしていないことが挙げられます。
またコロナ禍によって在宅勤務が広がる中で、紳士服ビジネスが全般的に苦境であることも非上場を選択した背景にあるかもしれません。
開示情報を見て思う事③
今回、MBOの株式買取資金は、4,832千株×765円=約37億円。
三菱UFJの融資金額は、39億円とのことですので、買取資金の全額をカバーし、差額の2億円は手数料ではないかと推測されます。
まとめ
今回、創業者の浩一氏は、保有株1,470千株(約11億円)をMBOに応募するとの事です。
既に資産管理会社の株主構成は決まっているので、この11億円を資産管理会社へ再投資することはないと思います。
手元に11億円入ってきたら何に使うのでしょうか?
今回のMBOは既存株主に対しては仕方のない選択だと思います。
一方、三菱UFJにとっては、まるまるMBO資金を融資できたことでメリットがありましたし、創業家も事業承継への道筋を作るメリットがあったと推測します。