親会社等の決算内容の見方⑦

今回は、日神パレスでお馴染みのマンションデベロッパー、日神グループホールディングス(8881 東証1 時価総額240億円)の話題です。

出所:2021年9月27日 変更報告書No.12 神山和郎 共同保有者の減少
2021年9月27日 大量保有報告書 神山隆志 該当事項なし
2021年8月31日 非上場の親会社等の決算に関するお知らせ
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概要

日神グループの創業者神山和郎氏が、自身の資産管理会社であるエヌディーファクター(N社)の出資持分をご子息の隆志氏に全株贈与しました。

開示情報を見て思う事①

N社が保有している日神グループの株式比率は、35.15%です。

上場株式だけでも240億円×35.15%=84億円の贈与となります。

実際には、資産管理会社の出資持分の贈与ですので、贈与額は必ずしも84億円にはなりません。

いずれにしてもN社は、上場企業株式を20%以上保有しているので、非上場の親会社等の決算開示が行われているはずですので、内容を確認してみます。

開示情報を見て思う事②

今回の出資持分譲渡前のN社の決算内容を基に色々と推測してみます。

N社はゴルフ場経営、賃貸不動産ビジネス、日神HD株式保有を行っています。

日神HD株式の割合は、45%ですので、株式特定会社には該当していません。

和郎氏の出資持分は66.5%、隆志氏の出資持分は33.5%です。

N社の株式含み益は、84億円(時価)―24億円(投資有価証券勘定)=60億円となります。

資産管理会社の含み益(簿価と相続税評価額との差額)37%控除を考慮するとN社の相続税法上の純資産価額は以下の通りです。

60億円×(1―37%)+24億円=62億円。

従って、和郎氏の出資持分に対応するN社持分は、62億円強×66.5%=41億円。

開示情報を見て思う事③

贈与の方法は、開示されていませんので、相続時精算課税か暦年贈与か判断は出来ませんが、仮に暦年贈与だと推測すると、贈与税は以下の通りです。

41億円×55%=22億円

この金額が多いか少ないかは分かりませんが、N社は上場企業株式を3分の1超保有していますので、配当金の全額益金不算入を使っているはずです。

N社における日神グループからの配当金収入は以下の通りです。

22円×16,527千株=363百万円

毎年益金不算入で、4億円ほど現金が積みあがっていることを前提とすれば、22億円の贈与税は安いでしょうか?高いでしょうか?

開示情報を見て思う事③

N社のP/Lを見ると、当期純利益は472百万円、法人税は6百万円となっています。

当期純利益に比較して、法人税の額が少ないことに気がつきます。

ざっくり言えば、本来の法人税は、472百万円×37%=175百万円となるはずですので、実際の法人税6百万円との差額は、配当金の益金不算入の影響があると考えるのが合理的です。

N社は、ゴルフ場の経営、賃貸不動産ビジネスを行っていますので、P/Lには、不動産収入と受取配当金が反映されていると考えられます。

実際の法人税6百万円を基にすれば、本来の当期純利益は、6百万円÷法人税の実効税率30%=20百万円となるはずです。

ここからわかる事は、実際の当期純利益472百万円から、この20百万円を差し引いた452百万円に、配当金の益金不算入の金額363百万円が含まれていると推測できることです。

それ以外の差額は、恐らく負債利子控除ではないかと推測できます。

開示情報を見て思う事➃

N社は、2019年に千葉の平川カントリーの株式を購入しています。

株式の購入なので、P/Lには子会社株式の類、今回は恐らく投資その他の資産勘定に計上されていると推測します。

まとめ

資産管理会社が、上場企業の親会社となっている場合、大半は何らかの税務メリットを追求する為に設立されているので、開示されている決算情報は、まさに宝の山となります。

P/LやB/Sの数字を細かく見ていくと、オーナがどういう意図をもって資産を管理しているかが何となくわかってきます。

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