今日は、来年4月1日から適用開始となるグループ通算制度について紹介します。
事業承継対策を専門にする税理法人では、この制度を先取りする形で株式の承継提案を行っているようです。
ここでは概要を紹介しますが、使い勝手は悪くなさそうというのが私の第一印象です。
連結納税制度との違い
図1に基づくと、従来の連結納税制度では、子会社2社が保有している事業会社株式は、20%
+15%=35%となり、配当金益金全額不算入の条件を満たします。
最終的には、親会社が子会社分をまとめて決算し、納税する流れとなります。
一方、図2では、子会社A、Bの配当金は、それぞれの持株比率である20%、15%で考える為、益金不算入の計算上、それぞれ50%が適用されます。
しかし、グループ通算制度では、子会社AとBの持株比率を合算することが可能となり、結果として益金の全額不算入とすることが可能となります。
【図1 連結納税制度】
【図2 グループ通算制度】
グループ通算制度適用の条件
連結納税制度では法人が対象でしたが、グループ通算制度では個人株主が一定の同族関係にあるという条件がありますが、個人を頂点とした場合(*1)も対象となります。
(*1)六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族の持分により判定
また負債利子控除額は、配当等の額の4%という制限にも注意が必要です。
グループ通算制度の活用
資産管理会社A株式を親が1%、長男、次男、三男がそれぞれ33%保有しているケースを考えるます。
子供が保有する株式をそれぞれの孫に承継させるためにグループ通算制度を使います。
例えば、子供が1%、孫が99%出資した資産管理会社、資産管理会社甲、乙、丙を設立します。
この場合、甲、乙、丙はそれぞれ資産管理会社Aの株式を33.3%保有していることから、従来であれば50%の益金不算入でしたが、グループ通算制度では100%の益金不算入とすることが出来ます。
これで甲、乙、丙は資産管理会社Aからの配当を全額使うことが可能となります。
あとは、事業法人で将来にわたってキャッシュフローが見込める資産(不動産や飛行機等)を購入すれば、そこからの配当を吸い上げることが出来ます。
結果として、孫が設立した甲、乙、丙は、長男、次男、三男からの株式購入資金を効率的に返済することが可能になります。
【現状】
【グループ通算制度活用時】
まとめ
資産管理会社に対して、複数の同族が出資しているケースには、グループ通算制度を活用することで、面白いソリューションを提供できるかもしれません。