MBO信託

事業承継に悩んでいるという経営者を前にした時の金融機関からの反応は、いつも「株式の売却かM&Aをしませんか」ですが、それ以外にも検討すべき選択肢はあるはずです。

今回は、事業承継に使える信託ということで、「MBO信託」という信託スキームを紹介します。

実際には、某信託会社が取り扱っている商品ですので、信託ってこんな使い方も出来るんだということをお伝え出来ればと思います。

信託を使うことで、後継者が見つかるまでの間、会社の経営を社外の人に任せることも可能

信託を資産管理に使う意義

信託は、教科書的に言えば、委託者、受託者、受益者という3者によって成り立っています。
受託者である信託会社に管理と運用を任せることで、委託者と受益者の関係や役割に関して、様々な取り決めをすることが可能になります。
あくまでも信託は契約によって、3者の権利や義務を規定するものですから、公序良俗に反する内容でない限り、理論上は自由に内容を決めることが可能です。
問題となるのは、むしろ税務上の取扱いです。
今の時点では後継者が決まっていない場合でも、一時的に信託会社に管理を依頼し、外部のプロ経営者を招聘し、将来、後継者となる人にバトンタッチすることも契約で決めることが出来るのです。

信託を活用した応用編

通常のMBOと同じように、受託者は受け皿としてのSPCを設立し、株式と資金の授受を行うはずです。
委託者である経営者が、自ら受託者への指図権を持つように組み立てておけば、実態としては、経営者が経営しているのと同じです。
それであれば、MBO向けの融資も比較的簡単に金融機関から引き出せそうです。
家を継がないことがはっきりしている子供を受益者に指名し、経営は外部の人物に、配当は子供が受け取るようにすることも可能です。
誰しも企業価値が将来に向けて増大していく前提で経営をしている訳ですから、将来、後継者が自社株を引き継ぐ際の企業価値は高くなっているはずです。
現時点での低い企業価値で譲渡価格を決定できれば、将来SPCから自社株を引き継ぐ後継者にも喜ばれます。
税務上の整理については、よくわからない点もありますが、信託を使えば、こうしたニーズにも応えることができそうです。
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まとめ

今回は、信託を使うことで、経営者が日頃感じているニーズを解決していく事例を紹介してきました。
前回のストックオプションも、今回の事業承継も、信託の使い方は基本的に同じだと思われます。
特に以下の2点がポイントです。
まだ今の時点では、資産を譲渡する相手が決まっていないが、譲渡する時が来るまでの間、第三者である信託会社が預かり管理運用を行うこと
信託会社が資産を預かる時点で、税金の手当ても行うことで、将来、資産を受取る人に納税負担を負わせないこと
委託者である経営者が信託期間中に死亡した場合には、このスキームが成立しなくなりますので、早めに後継者を見つけないといけない事には変わりありませんが。
それにしても信託を活用することで、これまで叶えることが出来なかった課題解決に可能性を感じます。

 

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