株式交付の資産管理会社への応用

今回はオンラインゲーム大手のコーエーテクモHD(3635 東証1 時価総額8,900億円)を題材に株式交付のスキームを考えます。

出所:2021年10月12日 変更報告書No.34 襟川陽一
当該株券等に関する担保契約等重要な契約の変更
EDINET 

同社の株主構成

同社は、襟川家のコーエー社と、柿原家が創業家のテクモ社が合併した会社です。

現在、襟川家の資産管理会社である光優HDが、コーエーテクモHDの50.35%を保有しています。

上場企業で時価総額が1兆円に迫る企業において、過半数を超える株式を保有する資産管理会社は珍しいと言えます。

同社の株主構成から思う事

市場区分変更の関係において、仮に資産管理会社が保有する株式を流動化する場合の課題について考えていきたいと思います。

資産管理会社は法人ですので、株式を売却する場合には譲渡益として37%が課税されます。

この課税をいかに軽減するかについて、今後注目されるかもしれないスキームとして、株式交付が選択肢になるかもしれません。

株式交付とは

株式の対価での部分買収の手段として、本年3月より導入された新しい税制です。

従来の株式交換は、100%子会社にしなければ利用することが出来ない制度でした。

一方、株式交付を利用することで、完全子会社にしなくても、過半数の株式を押さえていれば、部分的な買収を認めるというものです。

株式交付を活用することで、企業再編がやり易くなったと言われる所以です。

資産管理会社への応用

以下は、株式交付スキームを、コーエーテクモに応用するという頭の体操です。

実際には、総会決議やら既存担保の関係等で実現は難しいと思いますが、他社で応用が利くかもしれません。

  1. コーエーテクモHDは、35%の株式を襟川家へ交付します。
  2. 襟川家は、光優HD株式の35%をコーエーテクモHDに割り当てることで、光優HDの49.65%の持分を継続保有することになります。
  3. コーエーテクモHDは、光優HDの35%を保有することで、光優HDを子会社化します。

上記のスキームは、光優HD株式を、一部コーエーテクモHDの株式へ切り替えたイメージです。

コーエーテクモHD株を割当てられた襟川家が、同社株式を売却すれば、20%の譲渡益課税が適用されることになります。

あくまでも頭の体操ですが、株式交付スキームを使うことによって、上場企業の株主構成を再編し、法人課税から個人課税へ切り替えることが出来るようになると思われます。

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