簡易株式交換と金庫株の活用

今回は、不動産業者と連携した会員ビジネスで、日常トラブルの解決をサポートする、ジャパンベストレスキューシステム株式会社(2453 東証1 時価総額350億円)の話題です。

出所: 2021年7月27日 ジャパンベストレスキューシステム株式会社
「A社、B社の株式交換による完全子会社化及び・・資本業務提携に関するお知らせ」
適時開示情報閲覧サービス https://www.release.tdnet.info/
議決権比率が3分の1近辺である場合、
株式交換取引は、何らかの意図があることを疑え

概要

ジャパンベストレスキュー社(J社)が、シック・ホールディングス(S社)の子会社2社を簡易株式交換で100%子会社化しました。
今回は、2社への株式割当数が8.6%であることから、簡易株式交換として株主総会は不要です。
また、2社の親会社であるS社にJ社株式が割当てられたことから、両社が資本提携したということです。

ミニ知識:簡易株式交換

簡易株式交換とは、子会社に交付する株数が、親会社の株式数の20%以下の割合であれば、株主総会での特別決議が不要である制度です。

開示資料を見て思う事①

開示資料を見ると榊原氏の議決権比率34.89%と書いてあります。

一般的には、株式保有比率という表現が多いにも関わらず、議決権比率と書いてあるということは、自己株式(金庫株)があるのではないかと考えてしまいます。

そこで、会社四季報で榊原氏の株式保有比率を調べると、31.09%となっています。

そこでもう少し掘り下げて調べてみます。

同社の有価証券報告書を見ると、自己株式として3,768千株保有しており、これを考慮すると榊原氏の議決権比率は、34.89%であることがわかります。

開示資料を見て思う事②

議決権比率が3分の1以下になると、株主総会の特別決議拒否権がなくなることから、本件のように微妙な場合にはその背景が気になります。

というのも、今回の株式交換前の段階では、榊原氏の議決権比率は3分の1超でしたが、株式交換後は3分の1以下になります。

気前よく他社の子会社を100%子会社にするのはいいですが、経営者として拒否権を行使できなくなることは、自らの首を絞めかねません。

では、どうしてこんな取引をしたのか、もう少し掘り下げて推測します。

ミニ知識:株主総会特別決議の拒否権

議決権比率が3分の1以下となると単独での拒否権を失います。

開示資料を見て思う事③

誰が今回の取引を主導したのか?誰が得したのか?推測してみました。

実は、J社の2位株主は、あの光通信株式会社で10%の議決権比率を保有しています。

さらに、S社の50%超の株式を保有しているのも光通信です。

と言うことは、今回の株式交換でJ社への影響力を増したのは、光通信で間違いありません。

推測ですが、J社の大株主である光通信が、金庫株の活用方法について、今回の株式交換を榊原氏へ提案したのではないでしょうか?

『資金調達手段として使わずに、このまま金庫株として寝かしておくだけなら、いい会社があるから子会社にするべく、合併対価として使ったらどう?』

まとめ

J社は、開示資料を見ると、現預金比率が高い会社であることがわかります。

言い換えれば、配当余力が高い会社と言えます。

今回の株式交換を裏で操っているのが、仮に光通信であれば、彼らの意図は、J社が抱える現預金を配当金として吸い上げることにあるかもしれません。

資本主義経済である以上、資本の論理が優先するのは仕方ないことですが、怖い一面を今回の開示資料から感じることが出来ました。

 

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