合同会社と株式会社

本日は、ソフトバンクグループ孫正義氏の実弟で現在、シンガポール在住の孫泰蔵氏が創業した、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社(3765 東証1 時価総額1,940億円)の話題です。

出所:2021年7月21日 変更報告書No.71 SON Financial 合同会社 
「共同保有者の増加及び減少」
EDINET https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/
株式会社と合同会社の登録免許税
合同会社の資本準備金の金額
受取配当金の益金不算入制度

概要

泰蔵氏が有するガンホー株式、約70億円を2つの資産管理会社へ譲渡した内容です。

2社とも10年前に設立された法人ですので、今回は増資であると推測されます。

泰蔵氏は、起業家支援事業を行われていると聞いていますので、この2つの資産管理会社を活用して、何らかのインキュベーション事業を行うのかも知れません。

今回、2つの資産管理会社は、1%以上の保有比率が変動したことから、泰蔵氏の共同保有者として初めて開示されたことになります。

いずれにしても、今後はこの2社がガンホーの大株主に名を連ねることになります。

開示資料を見て思う事①

開示資料から、2社は今回の株式譲渡に関して、借入金がありません

もともと70億円ものキャッシュをため込んでいたとは考えにくいので、今回は現物出資による増資であると推測できます。

泰蔵氏は、シンガポール在住なので、株式譲渡にかかる所得税は恐らく課税されないと思われます。

ただし、増資に伴う登録免許税に関しては、2社は日本法人ですので、課税を逃れることは出来ないと考えられます。

開示資料をみて思う事②

開示資料には、2つの資産管理会社の事業内容が、資産管理業と書いてあります。

2社は、泰蔵氏の資産管理会社であると推測されますので、資産管理業ということは、インキュベーション事業に加えて、泰蔵氏の資産管理業務も含まれるということでしょうか?

資産管理業という表現で、あえて業務の範囲をあいまいにしているのかも知れません。

開示資料を見て思う事③

泰蔵氏が、通常会社を保有する場合には合同会社である場合が多いのですが、今回の2社は、両方とも株式会社です。

株式会社は、対外的なイメージは良いのですが、登録免許税などは、合同会社の方が安く抑えることができます。

泰蔵氏は、見栄えよりも実利を優先するタイプの人だと思っていたので、ちょっと意外です。

ミニ知識

株式会社の増資における登録免許税は、増資金額の1,000分の7、もしくは、その金額が3万円未満の場合は3万円となります。

また、会社法で定められている資本準備金の金額のルールに従い、自己資金や株主からの出資金のうち、一部を資本金として設定した後、資本金の2分の1を上限として、資本準備金にできます

従って、仮に2社合計の増資金額である70億円を前提とするならば、登録免許税は、最低でも資本金35億円(資本準備金35億円として)×1000分の7=約2,500万円です。

 一方、合同会社の場合、会社法の適用がないことから、設立時でも増資時でも資本金の額を自由に決めることが可能です。

例えば、資本金を100万円(資本準備金69億9,900万円)にすることも可能となります。

従って、税金面を考慮すれば、合同会社の方が圧倒的に有利となります。

開示資料を見て思う事➃

ガンホーの配当金は年30円です。

泰蔵氏が個人で株式を保有するよりも、資産管理会社で保有し、受取配当金の益金不算入制度を活用し、内部留保するのが目的かも知れません。

2社の株式保有比率は、両社とも5%以下です。

税引前受取配当金 = 2社合計の譲渡株数3,385千株×配当金30円 = 101,550,000円

法人税額 = 101,550,000円×(1- 益金不算入割合20%)×実効法人税率30% = 24,372,000円

 受取配当金 = 101,550,000 – 24,372,000円 = 77,178,000円

ミニ知識

受取配当金の益金不算入制度

①持株割合が3分の1超は、受取配当金の全額

②持株割合が5%超、3分の1以下は、受取配当金の50%

③持株割合が5%以下は、受取配当金の20%

まとめ

今回の変更報告書を見ると色々と疑問が湧いてきます。

どうして今回、2社の資産管理会社に株式を譲渡したのか?

どうしてお得意の合同会社でなく、株式会社のままなのか?

孫さん兄弟は、変更報告書の記載内容だけでは、本当の狙いがわかりにくいだけに、色々と推測するのが楽しい材料です。

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