親子上場解消

本日は、ENEOSホールディングス(5020 東名証1 時価総額1.5兆円)が親子上場を解消する話題です。

出所:2021年9月7日 ENEOSホールディングス
子会社株式に対する公開買付等に係る基本契約の締結に関するお知らせ
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概要

ENEOSの上場子会社である、道路舗装大手のNIPPO(1881 東証1 時価総額4,800億円)がTOBによって非公開化されることになりました。

ダイヤモンドオンラインで既に報道されていますが、当方は正式に開示された情報に基づいて内容を掘り下げてみます。

今回のスキーム

ゴールドマンサックスがスキームを構築しただけあって、一言でいえばよく考えられた内容です。

今回のTOBは総額5,000億円超のディールですから、単純計算してもゴールドマンは手数料としてウン十億円を稼いだ計算です。

まず、ENEOSがゴールドマンと共同してSPCを設立し、NIPPOに対して公開買付を実施。

NIPPOの一般株主(43%)に対して、買付価格4,000円(約2,000億円)で買付けします。

その後、ENEOSが保有するNIPPO株式(57%)を、NIPPOが買付価格2,859円(約2,500億円)で金庫株取得します。
恐らくこの金庫株取得は、相対での自己株取得であると推測します。

一連の取引結果として、NIPPOはSPCの100%子会社(非公開化)になります。

スキームのポイント

今回のスキームのポイントは、買取価格が一般投資家は4,000円、ENEOSは2,859円と異なっていることです。

ENEOSは、現在NIPPOの株式を3分の1超保有している親会社です。

従って、NIPPOがENEOSの保有する自社株をTOBで金庫株とした場合、みなし配当課税が全額益金不算入となります。

仮に、ENEOSに対する買取価格を4,000円とした場合、NIPPOからENEOSが受け取る売却代わり金も4,000円が単価となります。

一般投資家からすれば、自分たちは税金を払うのに、ENEOSは払わないわけですから、同じ株主なのに不公平感が残ります。

一般投資家の手取り額を計算すると、4,000円×(1-法人税率30%)=2,800円となります。

従って、ENEOSからこの金額で買取れば、一般投資家との不公平はなくなるという理屈です。

一般投資家との不公平感が生じないように、ENEOSからの買取金額を調整したと考えるのが合理的です。

開示情報を見て思う事①

開示情報に基づけば、ENEOSは今回のNIPPO株の資金化によって得た資金を活用して、脱炭素ビジネスへの対応に使うとの事です。

株式の買取資金も、親会社ENEOSとのやり取りが大半ですから、足りない部分をENEOSとゴールドマンから調達すればいいので問題なさそうです。

NIPPOに関しては、今後も引き続き50%超の株式を保有し連結対象としつつ、最終的にはゴールドマンと協働して再上場を目指すようです。

それにしても、5,000億円超のディールをまとめ上げる腕力は、さすがゴールドマンだと思います。

開示情報を見て思う事②

今回、買取価格を調整することで、一般株主からの批判を回避するとともに、NIPPOからすれば、ENEOSからの買取価格を低く抑えることが出来た訳です。

税効果を考慮した、よく練られたスキームだと思います。

NIPPOの既存株主からすれば、プレミアム価格で30%程度の上乗せを受ける代わりに、ENEOS側の事情でNIPPOという優良資産が取り上げられた残念な感覚かも知れません。

まとめ

投資銀行業界では、次のNIPPOは?というリストが出回っているようです。

テーマは「脱炭素でTOB」とのことですが、親子上場解消というテーマ自体は、古くて新しい課題でもあります。

日本の資本市場が活性化されるという意味では、こういうディールが欠かせないのかも知れません。

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