公開買付の駆け引き?

今回は、イオンによる100円ショップを展開するキャンドゥ(2698 東証1 時価総額300億円)に対する公開買付の話題です。

出所:
2021年10月21日 変更報告書No.24 城戸一弥
株式等保有割合が1%以上増加したこと
EDINET
2021年10月14日 株式会社キャンドゥ イオン株式会社による当社株券に対する公開買付に関する意見表明について
適時開示情報閲覧サービス

概要:

今回の公開買付は2段階で実施されます。

1回目の公開買付(買付価格2,700円)により城戸社長とお母様が獲得する資金は、合計で3,141千株×@2,700円= 84億円です。

2回目の公開買付(買付価格2,300円)で、両氏の資産管理会社(以下、ケイ社)が獲得する資金は、2,205千株×@2,300円=50億円です。

結果として税引後の手取りは110億円程度です。

今後も城戸社長は社長を継続するようですので、引き続き1,597千(約10%)は保有するようです。

開示情報を見て思う事

ポイント

  • 公開買付が2回に分けられている事
  • 買付価格が1回目(2,700円)と2回目(300円)で異なる事
  • 2回目では、イオンはケイ社が保有するキャンドゥ株ではなく、ケイ社株式を買取る事

1回目は、城戸ファミリーを含む個人株主が応募すると思いますが、2回目の内容が独特です。

そもそも公開買付をなぜ2回に分けているのか、なぜ2回目の買付価格を低く設定しているのか推測してみます。

2回目の買付に関しては、城戸社長からイオンに対して、ケイ社保有のキャンドゥ株式ではなく、ケイ社の株式を買取って欲しいとの要請があったと開示資料には記載されています。

この背景についても考えてみます。

城戸社長の狙い

ケイ社は、どうして1回目の買付に応募しないのでしょうか?

もし1回目の買付に応募した場合、法人なので約30%の法人税が譲渡益に課税されます。

ここは推測ですが、1回目の買付後にイオンの子会社となったキャンドゥが、自己株取得によってケイ社保有の自社株を買取ることを想定していたと思います。

こうすれば、ケイ社はみなし配当金の益金不算入によって、納税を回避することが可能になるからです。

一般的には、資産管理会社が保有する上場株式はこのように2段階で処理されます。

こうすれば1回の公開買付の手順で済みます。

イオンの狙い

こうした城戸社長の考えに対して、イオンからは、以下のような提案があったと推測します。

いっそのこと、イオンは城戸ファミリーが保有する資産管理会社株式を全部取得しますよ。

そうすれば、資産管理会社はイオンの100%子会社になる代わりに、城戸ファミリーは個人保有の株式を売却するので20%の譲渡益課税で済みますよ。

資産管理会社はイオンの100%子会社にした後で解散するので、その分も助かるでしょ。

こうすれば、イオンにとっても安い価格でケイ社保有のキャンドゥ株を手に入れることが出来るので、メリットがあるからです。

応募価格の違いが生じた背景

このようなやり取りがあったと仮定すると、1回目の買付価格(2,700円)に対して2回目の買付価格(2,300円)が低く設定されている背景が見えてきます。

買取価格が低く設定された2回目の買付に応募する株主など普通は存在しません。

これは初めからケイ社の株式を買取る為に準備されたものです。

城戸ファミリーにすれば、1回目に応募する場合に課税される税金と個人への課税分を考慮すれば、ケイ社株を低い価格で譲渡しても手取りはたいして変わらなくなるはずです。

イオンと城戸社長の思惑が一致した結果が、今回の2回に分けた公開買付と考えると、何となく納得がいきます。

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