民事信託の変更報告書② 

今回は、生命保険を軸とした証券・住宅ローン販売のブロードマインド(7343 マザ 時価総額40億円)の話題です。

出所:
2021年10月20日 変更報告書No.1 小林義典
株券等保有割合の1%以上の減少
2021年10月4日 変更報告書No.1 伊藤清
担保契約等重要な契約の締結
EDINET

概要

民事信託していた時価発行新株予約権信託の信託期間が満了したため、保有株式数が1%以上減少したという内容です。

関連記事

今回は、クラウドインテグレーターのSharing Innovations(4178 マザ 時価総額100億円)の話題です。出所:2021年9月30日 変更報告書No.1 有田佳史株券等保有割合の1%以上の減少EDINET概要[…]

IMG

開示情報を見て思う事①

同社は、本年3月に上場したばかりの新興企業です。

伊藤氏は同社の創業者であり代表取締役、また小林氏は同社の顧問税理士だと推測されます。

変更報告書によると、伊藤氏は上場前の2018年に、自分で保有していた株式1,844千株のうち、500千株(発行済株式数の約10%)を引当にした新株予約権を発行。

それを税理士である小林が設定した信託に拠出(買取資金は伊藤氏が準備)したと考えられます。

一定期間後に、業績等の条件をクリアした役職員に対して、新株予約権を付与するという信託契約を結んでいます。

今回は、一定期間の間に条件を充足しなかったことから、500千株の内、250千株はこの話はなかったということになり、信託契約期間が終了しました。

あとは残り250千株ということです。

開示情報を見て思う事②

本件は、インセンティブプランとして、新入社員や中途入社の役職員がその頑張りによって、低い価格で株式が貰えるというスキームです。

信託の仕組みからすれば、委託者の伊藤氏、受託者の小林氏、受益者不在となります。

本来は、受益者が税金を支払いますが、本件の場合には新株予約権発行時には誰に渡すかが決まっていません。

受益者が不在の場合には、税制上個人ではなく、法人と見做されますので、受託者である小林氏が納税(受託者不在法人課税信託)します。

従って、伊藤氏が手当てした資金は、法人への寄付と見做され、法人への受贈益課税を納税した後の資金で新株予約権を購入します。

開示情報を見て思う事③

新株予約権を受け入れる器を準備した小林氏は、変更報告書にその旨が記載されますが、一方の伊藤氏は、変更報告書に本件に関する記載は見当たりません。

信託という制度の性格を考えれば、仕方ないことかも知れませんが、関係者の一方だけが開示の対象となるのは少し違和感を感じます。

NO IMAGE
最新情報をチェックしよう!

企業オーナーの最新記事8件