民事信託を活用した資産管理会社への資産承継

今回は、トランプ大統領と安倍首相が食事をとったことで有名な、うかい亭の民事信託を手掛けた株式会社青山財産ネットワークスが題材です。

民事信託
民事信託のメリットとデメリット
出所 株式会社青山財産ネットワークス
2021年6月25日 変更契約書No.5 「株券等に関する重要な契約の締結 共同保有者の追加」
EDINET https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/
信託を使うことで、資産管理会社へ自社株が移管されているにも関わらず、対外的にはそれがわからないように出来る

内容

青山財産の代表である蓮見氏の資産管理会社である(株)HASUMI(以下、H社)を委託者、蓮見氏を受託者として、H社所有の900千株について信託契約が締結されたとのことです。
また、今回初めてH社が共同保有者に追加されました。

信託スキームの詳細

開示資料によると下記の流れになると推測されます。
①H社は蓮見氏から90千株を買取る資金1,432百万円を三井住友銀行から調達
②H社は蓮見氏から90千株を買取り、代金として1,432百万円を支払う
③H社は蓮見氏から1,432百万円を借入し、三井住友銀行へ返済する
➃H社と蓮見氏との間で信託契約を締結 これによってH社が保有する900千株は受託者である蓮見氏名義として管理
⑤蓮見氏は株式売却に伴う譲渡益課税に対する納税資金を三井住友銀行から借入

信託にした背景

H社に株券は移っているのに信託スキーム上は、蓮見氏が受託者であるため、名義は蓮見氏となります。
蓮見氏が実際に保有している株券と区別なく、信託分も名義上は同じです。
従って、保有割合に変更が生じないので、変更報告書を提出し開示する必要はありません。
よほど注意して見ていないと、資産承継が行われたことすら気がつかないかも知れません。

民事信託のメリット

①コストが安い
民事信託は、信託銀行のように信託を業(商事信託)として継続反復して行うことは出来ません。
また信託報酬という手数料を設定することも出来ませんので、実質的にはタダです。
実務上は、アレンジメントフィーやコンサルフィーの名目で会計事務所や弁護士事務所は引き受けていると思います。
②受託者の裁量で議決権行使できる
資産管理会社の株主構成によっては、オーナーの意に反する行動を起こさないとも限りません。
民事信託を使うことで、オーナーが議決権をコントロール出来るというのは、重要な視点です。
③有価証券報告書上の名義を変更する必要がない
商事信託であれば、受託者〇〇と名義を変える必要がありますが、民事信託では必要はありません。

民事信託のデメリット

受託者にとって実務上大きな障害となるのは、委託者への報告義務と言われています。
法律によって厳密に報告内容が規定されているので、要件を満たすことが負担になります。
信託銀行はこの要件を満たす代わりに、信託報酬という手数料を設定していると考えることが出来ます。

まとめ

既存の信託銀行を通したサービスに飽き足らないニーズへのソリューションとして、民事信託が注目されています。
最近は、大手証券会社でも民事信託専用の証券口座の取扱いを始めています。
いずれは、商事、民事信託を通して信託という契約形態への理解が進み、欧米のように普及するものと期待されています。
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