本日の後半編は、土佐の遍路転がしの一つ目であった焼坂峠(やけざかとうげ)を無事に越えて、次の難所である、七子峠(ななことうげ)を目指し、37番岩本寺の宿坊に泊まります。
焼坂峠(やけざかとうげ)から土佐久礼(とさくれ)まで
JR土讃線と谷川に沿って焼坂峠を下り、11時20分、土佐久礼の街に入ります。土佐久礼の街も、昔ながらの蔵造りの大きな家が立ち並び、歴史を感じる趣のある街並みです。
土佐久礼の街から37番岩本寺へは、七子峠(標高287m)を越えなければなりません。3つの選択肢があります。
①そえみみず遍路道
山の尾根を通る遍路道で、標高400mまで登ることになる為、時間と体力に余裕がある場合にお勧めのルートです。晴れていれば久礼湾を望む絶好の景色が見れるそうです。
②大坂遍路道
山間の谷間を歩く遍路道で、高低差が少ないため、時間と体力に余裕がない場合には、このルートがお勧めです。しかし、雨が降ると遍路道が水没する可能性があり、天候と相談しながら進む必要があります。
③国道56号
天候にも左右されない為、安全を重視するならこのルートがいいと思います。
大坂遍路道で七子峠(ななことうげ)へ
岩本寺の納経時間(17時)までに到着したかったのと、天候も安定していたので、大坂遍路道を進むことにしました。
写真に見える大阪谷川に沿って進みます。ほとんど水が流れていないような川ですが、大雨の時は水位が上がるのでしょうね。
遠くに見える高架は、高知自動車道の高架です。この高架を過ぎると本格的な峠越えの道になります。
途中で遍路小屋がありました。ここから1km位の間に200mを登るので、結構急な坂が続きます。
遍路道は、ところどころ荒れてはいますが、危ない箇所もなく、快適に登ることが出来ます。
12時50分、七子峠に到着しました。大坂遍路道は、土佐久礼の街から、高速道路の高架下までは平坦な道が3kmほど続きます。その間40分、高速道路の高架下を通過してから10分歩くと遍路道の上りが急になります。そこから、30分ほど頑張ると峠に到着できます。土佐久礼の街から、1時間20分ほどの遍路道です。
国道56号との合流点です。この後、遍路道は国道から離れて、これまで登った分をゆっくりと下っていきます。
土佐久礼の街に入ってから、立派な鯉のぼりが泳いでいる民家に度々出くわしました。中には大漁旗と鯉のぼりが一緒に風になびいている勇壮な姿もありました。
時刻は13時40分です。これは、雪椿の遍路小屋の風景です。
ここは、JR影野駅近辺だと思いますが、線路と田畑と、遍路道脇の植物、川の流れる風景を見ながら、のどかな田園地帯を歩きます。
15時40分、37番岩本寺(いわもとじ)がある窪川(くぼかわ)の街に到着です。
37番岩本寺(いわもとじ)
岩本寺は、標高280mを超える高原の街、窪川にあります。本尊は5体あり、それぞれの真言を唱える必要があるという珍しいお寺さんです。
境内は広く、弘法大師にちなんだ七不思議があるそうです。岩本寺といえば、やはり本堂の天井絵が有名です。
この天井絵は全部で575枚あるそうです。400人が参加して、洋画や日本画、水墨画など種類も様々です。もちろんマリリン・モンローの絵も見つけました。
今日の宿 岩本寺宿坊
宿坊に泊まりたかったのですが、なかなか機会がなかったので、今回の区切り打ちを終えるにあたってようやく念願がかないました。
こんな広くて奇麗な部屋に一人で泊めてもらるなんて、有難い話です。大浴場もあるし、街中なのに本当に静かです。
こちらの宿坊はお遍路さんの中でも人気が高いので、私以外にも宿泊している方は多かったです。食事も美味しいし、疲れた身体をゆっくりと休めることが出来ます。
区切り打ち6日目を終えて
今回の区切り打ちでは、今日の51kmが一番長い距離となりました。前半は海沿いを、後半は山間を歩くという変化に富んだ遍路道でしたが、どこも季節を感じられて素敵な経験でした。土佐の難所と呼ばれる2つの遍路転がしを無事に通過することが出来たことは、やはり遍路道を日ごろから整備してくれる地元の方々のご尽力が大きいと思います。山中で迷った時に、あの遍路ステッカーを見つけた時の安堵感は、歩き遍路にとってどれほど有難いものか、これは歩き遍路にとってはあるある話です。